リベルサス®とは?
リベルサス®(セマグルチド)はGLP-1受容体作動薬です。GLP-1受容体と選択的に結合し,cAMP放出量を増加させます。GLP-1は、小腸下部のL細胞から分泌され、膵β細胞でインスリン分泌を促進し、膵α細胞でグルカゴン分泌を抑制します。適応は2型糖尿病です。
リベルサス®が7mgを2錠ではダメな理由
糖尿病の経口のGLP-1受容体作動薬として初めて開発されたリベルサス錠。添付文書の用法では服用が複雑です。
7.2 本剤14mgを投与する際には、本剤の 7mg錠を2錠投与することは避けること。
https://www.info.pmda.go.jp/go/pdf/620023_2499014F1021_1_03
[16.2.1参照]
セマグルチドはペプチド構造を持っているため、分子量が大きくて細胞透過性が低い上に、消化管のペプチド分解酵素(ペプシン)により分解されてしまいます。そのため、経口薬が出るまでは注射剤しか存在しませんでした。
その難点を克服したのが、リベルサスに含有される吸収促進剤のSNACです。
SNACは、錠剤内と錠剤周囲の胃酸のpHを一過性に酸性から中性に傾け、胃液による分解から保護すると考えられています。また、胃粘膜細胞へのセマグルチドの吸収を促進する役割もあります。
SNACの含有量
https://image.packageinsert.jp/pdf.php?mode=1&yjcode=2499014F1021
14 健康被験者を対象に、SNAC含有量が300mg又は600mgの本剤10mg錠を単回投与したところ、セマグルチドのCmaxはそれぞれ4.80±5.30及び3.03±4.64 nmol/L、AUC0-504 hはそれぞれ414.47±499.17及び241.09±398.22nmol・h/Lであり、SNACの含有量が300 mgから増加するとセマグルチドの曝露量の低下がみられた。
SNACの含有量が多ければよいというわけでもなく、逆に吸収が低下するということですね。
もしリベルサス®7mg錠×2の処方が出てたら、疑義照会です。
まとめ
リベルサス7mgを2錠の服用を避ける理由は、リベルサス®錠に含まれるSNACの量が多くなり、効果が下がってしまうからです。
リベルサス®錠には、他にも注意点がたくさんあるので覚えておきたいです。
- 吸収が低下するため、空腹の状態でコップ約半分の水とともに服用し、服用時及び服用後少なくとも30分は、飲食や他の薬剤との服用を避ける。
- 分割・粉砕及びかみ砕いて服用しない。
- 投与を忘れた場合はその日は投与せず、翌日投与する。
- 服用直前にPTPシートから取り出して服用する。
- ミシン目以外の場所で切り離さない。
参考文献
リベルサスの開発と作用機序
https://www.msdconnect.jp/videos/rybelsus-development-moa-movie-lp/
リベルサス®インタビューフォーム
https://image.packageinsert.jp/pdf.php?mode=1&yjcode=2499014F1021
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